現在、日本の政治界で注目を集めている参政党。しかし、その政策や発言をめぐって「排外主義」という批判が多く寄せられています。

参政党って最近よく聞くけど、なぜ排外主義なんて言われているのでしょうか?
この記事では、参政党の政策内容や代表的な発言を詳しく分析し、なぜ排外主義と批判されるのかを専門家の見解とともに解説します。
参政党について詳しく知りたい方は、まず参政党とは何か?政策や歴史をわかりやすく解説をご覧ください。
参政党とは何か?その歴史と特徴
参政党の設立と発展
参政党は2020年4月に神谷宗幣氏を中心として結党された比較的新しい政党です。「投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる」という合言葉で設立されました。
神谷宗幣氏は1977年生まれで、吹田市議会議員や大阪府議会議員を経て、現在は参政党の代表兼事務局長を務めています。彼の政治的な歩みは地方議会から始まり、一貫して教育や中小企業支援、日本の自立をテーマとした活動を続けてきました。
政党の急速な成長
参政党は短期間で急速に成長を遂げています。2022年の参院選では約177万票を獲得して1議席を確保し、2024年の衆院選では約187万票を得て3議席を獲得しました。
参政党の政策発表動画
参政党の政策発表動画(ニコニコニュース)
さらに注目すべきは、2023年の党の収支報告書によると、約20億円という潤沢な資金を有していることです。これは「参政党フェス」などの政治資金パーティーやグッズ販売による収入が大きな要因となっています。
「日本人ファースト」政策の内容と問題点
移民政策への厳格な姿勢
参政党が掲げる「日本人ファースト」政策の核心は、外国人の受け入れに対する厳格な姿勢にあります。
具体的な政策内容:
- 外国人の永住許可制度の適正化
- 外国人労働者の受け入れ制限
- 外国人技能実習制度の見直し
- 外国人による不動産購入への規制

外国人の権利を制限する政策が多いのは気になりますね…
神谷代表の発言とその波紋
神谷宗幣代表は2025年7月のフジテレビ番組で「外国人からは相続税が取れない」と発言しましたが、これは事実誤認であることが判明しました。国税庁によると、所有者の国籍や住所にかかわらず、日本にある資産には相続税が課税されます。
最新の街頭演説動画
TBS NEWS DIG「太田光が問う」での神谷代表インタビュー
このような発言は、外国人に対する偏見や誤解を助長する可能性があるとして、専門家から厳しい批判を受けています。
専門家による排外主義批判の根拠
政治学者の見解
沖縄国際大の佐藤学教授(政治学)は、参政党の「日本人ファースト」について次のように指摘しています:
「日本人を大切にするのは当たり前のことです。この言葉の裏には排外主義があると感じます」
佐藤教授は、参政党が日本人の漠然とした不安を巧みについている点を問題視しています。
排外主義とは何か?
排外主義とは、外国人や外国を排斥する考え方や立場のことを指します。政治学的には、以下のような特徴があります:
- 自集団中心主義:自分たちの属する集団を優先する考え方
- 他者排斥:他の民族や国家に対する敵対的な態度
- 純化主義:血筋や出生地による彼我の区別
海外メディアの関心
毎日新聞の報道によると、参政党の移民政策や海外資本に対する認識に対して、海外メディアからも「排外主義なのか?」という関心が寄せられています。
支持拡大の背景と社会的要因
在留外国人数の推移
出典:nippon.com
日本に暮らす在留外国人は2024年末に過去最多の約376万8900人となりました。このような急速な外国人人口の増加が、一部の日本人に不安や不満を感じさせる要因となっています。
支持者の特徴と動機
参政党の支持者は多様な背景を持っています:
- 既存政党への不満を抱く層
- 食の安全や環境問題に関心がある層
- 日本の伝統や文化を重視する層
- 反グローバリズムの考えを持つ層
街頭演説の様子
参政党・神谷代表の福岡での街頭演説(福岡テレQニュース)
ただし、佐藤教授は「民泊やオーバーツーリズムに伴うトラブルは散見されますが、特に騒がれているような実態はありません」と指摘しており、実際の問題と人々の不安感には乖離があることを示しています。
排外主義の危険性と社会への影響
専門家が警告する問題点
1. 民主主義への脅威 日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」では、参政党の排外主義を「民主政治覆す異質の危険」として警告しています。
2. 社会分断の促進 外国人を敵視する排外主義は、社会の分断を促進し、多様性を否定する危険性があります。
3. 人権意識の後退 アムネスティ・インターナショナル日本の調査では、参政党の候補者の人権意識に懸念が示されています。
NGOからの緊急声明
2025年7月には、外国人、難民、民族的マイノリティの人権問題に取り組むNGOが「参議院選挙にあたり排外主義の煽動に反対するNGO緊急共同声明」を発表しました。
この声明では、「日本社会に外国人、外国ルーツの人々を敵視する排外主義が急速に拡大している」として強い危機感を表明しています。
他党との比較と政治的位置づけ
保守政党との違い
参政党は自民党や日本維新の会といった既存の保守政党とは異なる特徴を持っています:
自民党との違い:
- より強硬な移民政策
- 反グローバリズムの明確な姿勢
- 伝統的価値観への強いこだわり
日本維新の会との違い:
- 中央集権的な政治体制への批判
- 経済政策における保護主義的傾向
日本保守党との関係
同じく保守系の新党である日本保守党との比較も興味深い点です。元外交官の佐藤優氏は、「参政党の方が日本保守党に比べて、しぶとい生命力を感じる」と評価しています。
現状の分析と今後の課題
参議院選挙での動向
TBS NEWS DIG「参議院選挙情勢と参政党の躍進」
参政党は2025年の参議院選挙で「最低6議席獲得」を目標に掲げており、各種世論調査でも支持率の上昇が確認されています。
課題と懸念
しかし、その政策や発言内容には多くの問題が指摘されています:
- 事実誤認に基づく発言:相続税に関する発言など
- 社会分断の促進:外国人への敵対的な姿勢
- 人権意識の欠如:多様性を否定する傾向
政策提言と今後の展望
建設的な外国人政策とは
排外主義的な政策に代わる建設的な外国人政策として、以下のような点が重要とされています:
- 共生社会の実現:外国人との共生を目指す政策
- 統合政策の充実:日本語教育や社会保障制度の整備
- 多様性の尊重:異なる文化や価値観を認める社会づくり
- 経済発展との両立:外国人労働者の適切な受け入れと活用
専門家からの提言
多くの専門家は、排外主義的な政策よりも、以下のような方向性を提唱しています:
- 事実に基づいた政策議論
- 人権を尊重した制度設計
- 国際社会との協調
- 長期的な視点での政策立案
まとめ
参政党が排外主義と批判される理由は、その政策内容や発言が外国人を排斥する傾向を持っているからです
主な批判点:
- 「日本人ファースト」の名の下での外国人排斥
- 事実誤認に基づく発言
- 社会の分断を促進する恐れ
- 人権意識の後退
しかし、参政党の支持拡大の背景には、既存政党への不満や社会の急速な変化に対する不安があることも理解する必要があります。
💭 政治においては、感情的な議論ではなく、事実に基づいた冷静な判断が大切ですね
重要なのは、排外主義的な政策の危険性を理解しつつ、日本社会が直面する課題に対して建設的な解決策を模索することです。多様性を尊重し、すべての人が共生できる社会を築くことが、真の意味での「日本らしさ」と言えるのではないでしょうか。
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TBS NEWS DIG「参政党への有権者の期待と懸念」
Twitter上での議論
参政党関連の議論はTwitterでも活発に行われており、様々な意見が交換されています。
参考文献:
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