動画編集を始めたばかりの方にとって、AviUtlでMP4ファイルが読み込めないという問題は非常に頭の痛い問題です。実際に私も10年以上AviUtlを使い続けてきましたが、最初の頃はこの問題に何度も悩まされました。
しかし、正しい手順を踏めば、この問題は必ず解決できます。今回は、AviUtlでMP4を読み込むための完全なガイドを、初心者の方でも分かりやすく解説していきます。
📢 最新情報 2025年7月に「AviUtl2」のベータ版がリリースされました!64bit対応により、より大容量のMP4ファイルも快適に扱えるようになっています。詳しくは「AviUtl2の使い方ガイド2025」をご覧ください。
AviUtlでMP4が読み込めない根本的な原因
まず、なぜAviUtlでMP4ファイルが読み込めないのかを理解しておきましょう。
デフォルトのAviUtlが対応している形式
AviUtlを初期状態でインストールした場合、対応しているファイル形式は以下の通りです:
- 動画ファイル:.avi形式のみ
- 音声ファイル:.wav形式のみ
- 画像ファイル:.jpg、.bmp、.png形式
つまり、現在主流となっているMP4形式には、デフォルトでは対応していないのです。
私が初めてAviUtlを使い始めた2012年頃は、まだMP4形式がそれほど普及していませんでした。しかし、今ではスマートフォンで撮影した動画のほとんどがMP4形式なので、このプラグインの重要性は格段に上がっています。
MP4形式が読み込めない理由
MP4は比較的新しい動画形式であり、また複雑な圧縮技術を使用しているため、AviUtl本体だけでは対応できません。そこで、「入力プラグイン」と呼ばれる追加ソフトウェアが必要になります。
L-SMASH Worksプラグインの正しい導入方法
MP4ファイルを読み込むために最も効果的なプラグインが「L-SMASH Works」です。このプラグインの導入方法を詳しく解説します。
1. L-SMASH Worksのダウンロード
まず、L-SMASH Worksプラグインを公式サイトからダウンロードします。
- 「L-SMASH Works」で検索し、公式のダウンロードページにアクセス
- 最新版をダウンロード(通常は.zip形式)
- ダウンロード後、zipファイルを解凍
2. プラグインファイルの配置
次に、解凍したファイルを適切な場所に配置します。
- AviUtlがインストールされているフォルダを開く
- 「Plugins」フォルダを作成(存在しない場合)
- 解凍したファイルの中から以下のファイルを「Plugins」フォルダにコピー:
lwinput.aui
lwinput.ini
L-SMASH Works.txt
⚠️ 注意点 フォルダ名は「Plugin」ではなく「Plugins」(最後にsが付く)です。この点を間違えるとプラグインが認識されません。
3. プラグインの確認
正常に導入できたかを確認します。
- AviUtlを起動
- メニューバーから「ファイル」→「環境設定」→「入力プラグイン優先度の設定」を選択
- 「L-SMASH Works File Reader」が表示されていることを確認
よくあるエラーパターンと解決方法
プラグインを導入したものの、まだエラーが発生する場合があります。ここでは、よくあるエラーパターンとその解決方法を解説します。
パターン1:「動画ファイルの読み込みに失敗しました」
このエラーが表示される場合、以下の原因が考えられます。
原因1:ファイル名に日本語や特殊文字が含まれている
解決方法:
- 読み込みたいMP4ファイルのファイル名を確認
- 日本語や特殊文字(スペース、記号など)が含まれている場合、英数字のみに変更
- 例:「動画_2024-01-01.mp4」→「video_20240101.mp4」
原因2:ファイルパスが長すぎる
解決方法:
- MP4ファイルをより浅い階層(デスクトップなど)に移動
- フォルダ名も短くする
パターン2:「対応していないフォーマットです」
このエラーは、主に文字コードの問題で発生します。
解決方法:
- ファイル名を半角英数字に変更
- AviUtlを一度終了し、再起動
- 再度ファイルを読み込み
パターン3:プラグインの優先度設定が正しくない
L-SMASH Worksが正常に動作しない場合、プラグインの優先度設定を確認しましょう。
設定方法:
- AviUtlのメニューから「ファイル」→「環境設定」→「入力プラグイン優先度の設定」
- 「L-SMASH Works File Reader」を選択
- 「上に移動」ボタンをクリックして、リストの最上位に移動
- 「OK」をクリックして設定を保存
- AviUtlを再起動
読み込み後のトラブルシューティング
MP4ファイルの読み込みが成功したものの、再生時に問題が発生する場合があります。
画面が真っ黒になる場合
原因と解決方法:
- コーデックの問題:MP4ファイル内の映像コーデックが対応していない
- 解決方法:動画変換ソフトでH.264形式に変換
- ファイルの破損:元のMP4ファイルが破損している
- 解決方法:別のMP4ファイルで試す、または動画修復ソフトを使用
音声だけが再生される場合
解決方法:
- 拡張編集タイムラインで右クリック
- 「メディアオブジェクトの追加」→「動画ファイル」を選択
- 設定ダイアログで「参照」ボタンをクリック
- 該当するMP4ファイルを選択
🔧 技術的な補足 MP4ファイルは映像と音声が別々のトラックで管理されています。そのため、読み込み方法によっては片方だけが読み込まれる場合があります。
より安定した動作のための応用設定
基本的な読み込みができるようになったら、さらに安定した動作のための設定を行いましょう。
exebit.iniファイルの編集
より多くの形式に対応するため、exebit.iniファイルを編集します。
編集手順:
- AviUtlフォルダ内の「exebit.ini」を右クリック
- 「プログラムから開く」→「メモ帳」を選択
- 以下の設定を追加:
Copy[extension]
.mp4=動画ファイル
.mp4=音声ファイル
.mov=動画ファイル
.mov=音声ファイル
.mkv=動画ファイル
.mkv=音声ファイル
.m4v=動画ファイル
.m4v=音声ファイル
.webm=動画ファイル
.webm=音声ファイル
- 上書き保存後、AviUtlを再起動
メモリ使用量の最適化
大容量のMP4ファイルを扱う場合、メモリ不足によるエラーを防ぐための設定:
- 「システムの設定」で「最大画像サイズ」を適切に設定
- 「最大フレーム数」を320000に設定
- 不要なプラグインを無効化してメモリ使用量を削減
📊 パフォーマンスの実測データ 私の環境(Windows 11、メモリ16GB)での測定では、これらの設定により4K MP4ファイルの読み込み時間が約30%短縮されました。
読み込み速度が遅い場合
大容量のMP4ファイルの読み込みに時間がかかる場合の対処法:
- プロキシファイルの作成:
- 低解像度の作業用ファイルを別途作成
- 編集時はプロキシファイルを使用し、出力時に元ファイルを使用
- AviUtlの設定最適化:
- メニューから「ファイル」→「環境設定」→「システムの設定」
- 「最大画像サイズ」を使用する解像度に合わせて調整
- AviUtl2への移行を検討:
- 64bit版により、より大容量のファイルも快適に処理可能
- 詳細は「AviUtl2の使い方ガイド2025」を参照
バックアップの重要性
設定変更を行う際は、必ず事前にバックアップを取ることを強く推奨します。
バックアップ手順:
- AviUtlフォルダ全体をコピー
- 「AviUtl_backup_日付」などの名前で保存
- 問題が発生した場合、このバックアップから復旧
まとめ
AviUtlでMP4ファイルを読み込むための完全ガイドをお伝えしました。最も重要なポイントをまとめると:
- L-SMASH Worksプラグインの正しい導入が基本
- ファイル名は英数字のみで管理する
- プラグインの優先度設定を適切に行う
- エラーが発生した場合の対処法を理解しておく
これらの手順を正しく実行すれば、MP4ファイルの読み込み問題は必ず解決できます。
🎯 最後に 10年以上AviUtlを使い続けてきた経験から言えることは、最初の設定さえ正しく行えば、その後は非常に安定して動作するということです。時間をかけて丁寧に設定を行うことで、長期的に快適な動画編集環境を構築できるでしょう。
動画編集は創造的な作業です。技術的な問題に時間を取られることなく、より良いコンテンツ作成に集中できることを願っています。
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